身長と遺伝の関係:論文や研究結果から確認

身長は遺伝で決まっているの?

business image chart and smart phone

身長が遺伝で決まるということを知ると、もっと伸ばしたいと考えている場合「身長が遺伝で決まるなら努力してもムダか~」、「やっぱり両親の背が低いと私も低身長なんだ…」とガッカリしてしまいますよね。

本当に身長は遺伝で決まってしまうのでしょうか?
遺伝に逆らってもっと身長を伸ばす方法はないのでしょうか?

これらの遺伝と身長の関係を実際の研究論文やニュースから探っていきましょう。

最終的な身長が遺伝では決まらない理由

うちはみんな背が低いから、自分も背が低いんだろうな。。。

こんな風に思っている人はとても多いと思います。家族みんなが背が低いと絶望しそうな気になりますが、実は遺伝の要素は80%で後は生活環境などの後天的な要素で決まることが近年の研究でわかってきました。

Exciteニュース
25万人のデータから、身長と遺伝子の関係性を解明「背の高さは80%遺伝で決まることが発覚」

身長が遺伝と関わっていることは、あなたのまわりを見ても当てはまっていると感じるでしょう。背の大きい家庭の子は背が大きく、背が小さい家庭の子は小さい傾向があります。

また、両親の身長から子供の身長を予測する計算式というものがあります。
これによって、ある程度の予測の身長というのがわかります。

<男子>
男の子の場合 =(お父さんの身長 + お母さんの身長 + 13) ÷ 2 + 2

<女子>
女の子の場合 =(お父さんの身長 + お母さんの身長 - 13) ÷ 2 + 2

私の場合、父が165cm、母が158cmでしたので
(165 + 158 + 13) ÷ 2 + 2 = 170cm

ちなみに私の身長は171cmなのでほぼ当りです。

これが予測される身長です。ただし本当の身長はこれだけでは決まりません。
生活環境や、栄養、睡眠、運動などでこの元となる身長にプラスの要素が加わり最終的な身長になるのです。

そうはいってもやっぱり遺伝なんじゃない?

のという方は、以下のデータを見てください。

身長の推移グラフ
WS000058

最近でこそ横ばいですが、日本人の平均身長は40年前と比べて約10cmも伸びています。身長が遺伝や人種だけで決まるならば、30年前から身長はほとんど変わってないはずです。

「40年前とは生活習慣も食べ物も変わってるからでしょ」って思った人は正解です。

生活習慣や食事が変わっているから平均身長が伸びているのです。昔は今ほど栄養のある食事ももとれませんでしたので身長の伸びがいまいちだったのです。

江戸時代はもっとも身長が低かった

食生活で身長が変わる例として江戸時代の平均身長の低さがあります。

image001

今までの日本の歴史上で、江戸時代がもっとも平均身長が低く現代を除くと弥生時代が最も身長が高かったというのです。これは発掘された骨の長さなどからわかっています。

これは、なぜかというと弥生時代までは狩猟で生活していた日本人が徐々に安定した稲作をはじめていったためです。そこから肉食が少なくなって少しづつ身長が減り江戸時代には粗食ブームもあり肉を食べる習慣がかなり少なくなっていたというのです。

魚は食べていたようですがそれでも月に1~2度程度で貧しい家庭ではほとんどなかったというので、栄養が身長に重要だということはこのことからもわかります。

同じ人種でも生活環境で身長が異なる例

また面白い例として、北朝鮮と韓国に住む人の平均的な身長はおよそ7~8cmも違うのです。韓国と北朝鮮では同じ人種で骨格や遺伝的要素はあまり違いがないはずなのに、栄養や環境によって差がでてくるというわかりやすい例だと思います。

また、下の表のようにアジア人は欧米人より平均身長が低いのですが、これは人種というよりもアジア人は農耕中心、欧米人は狩猟中心だった歴史から人種の差より環境の差が大きいのではないかと考えられているようです。

オランダ人は食の充実で背を伸ばした

最近のニュースでも身長は遺伝だけでは決まらないことを報じています。以下のニュースは、世界一国民の身長の平均値が高いオランダ人がなぜ世界一になったのかという調査結果です。

「健康な食事」世界1位はオランダ、日本は21位=調査

「オランダは、国民が十分に食べていける良い市場を作り上げた。(食品の)価格は比較的低く安定し、国民が取っている食の種類はバランスが取れている」

出典:http://jp.reuters.com/article/l3n0kp125-healthy-food-world-ranking-idJPTYEA0E01M20140115 ロイター

この記事を要約すると世界一背が高いオランダ人の食事は栄養のバランスが取れているというのです。オランダはもともと身長が世界一というほど高くはなかったので、徐々に食生活を改善した結果身長の伸びがよくなったのだと考えられます。

現在主流の身長と遺伝の関係

現在医学界で主流になっている考え方としては、身長は遺伝の要素が強いということです。

身長は遺伝するといっても、その遺伝率は統計から80%~90%ぐらいであるとされています。身長の遺伝率というのは、身長の成長にかかわる遺伝の割合です。

これはどうやって算出しているかというと、一卵性双生児の研究からわかります。一卵性双生児は、遺伝子的には同一なのでこの2人の環境を別にしてどのように身長の伸びに影響を与えるのか調べています。

遺伝率に関しては以下サイトより
http://www2.plala.or.jp/omiya/idennritu.htm

このことから、身長の遺伝率を仮に85%とすると身長の85%は遺伝、残りの15%は環境による要因だということがわかります。

DNA実験イメージ
これは、一卵性双生児の1人が仮に170cmだったとしたら、もう一人の方は環境がまったく異なっていても170cmになる可能性が85%であり15%の要因で170cmよりも小さくなったり大きくなったりするということになります。

その身長が伸びたり縮んだりする率は環境に左右されるので一概にいくつぐらいかはわかりませんが、栄養や環境によって伸びの誤差は±8cm程度と言われています。-8cm~+8cmまでの差は16cm。これは環境要因によって遺伝的な身長より8cm低くなるか8cm高くなるかのどちらかになるということです。

つまり、170cmを基準にすると162cmになるか、178cmになるかどちらでも環境によっては、どちらの結果もありうるということです。これは、かなり大きい差だとは思いませんか?

162cmと178cmではかなり差があるので今後の人生に大きな影響を与えます。特にスポーツ選手などは1cmの差が、かなりの差になることもあります。一般的にも特に男性は高身長の方がモテる可能性が高いので婚活や恋愛などの生活面でも有利に働きます。

身長が遺伝によらない理由1:遺伝は両親からだけではない

身長は遺伝的な要素が強いことがわかりましたが、その遺伝は父親、母親、祖父、祖母からなどさまざなま遺伝が絡み合います。なぜなら、「身長が伸びる遺伝子」というのはないからです。

身長は遺伝が関係するんじゃないの?と思うかもしれませんが、身長が伸びるというのは軟骨の成長、栄養の吸収力、ストレス耐性、成長ホルモンの分泌、コラーゲンの生成など697もの関連する遺伝子が存在するのです。

ヒトの身長に関連する遺伝子バリエーションを数百個も新規同定

つまり「身長が伸びる」といった1つだけの要因でなく、身長が伸びるためのいろいろな要素が組み合わさって身長が伸びるのです。その遺伝子が父親、母親だれか一人だけということはありえません。 この遺伝子は父親、この遺伝子は祖父、あるいは祖母などと697の遺伝子がそれぞれ別の遺伝をしているはずです。

そのため、父親(母親)から背の高さが遺伝したという言い方は厳密には間違っているのです。

ここで最初に提示した両親の身長から遺伝による身長を推測する式がでてきます。

男子の身長=(父親の身長+母親の身長+13)÷2+2
女子の身長=(父親の身長+母親の身長-13)÷2+2

この遺伝による身長を推測する式は、統計から求めらた平均値です。平均値は、しょせん平均値なので大体の予測を求めることだけに使えばいいでしょう。今後身長がどうなるかは身長を伸ばす努力の結果(環境的な要因)でしかないのです。

身長が遺伝によらない理由2:身長は環境で伸び率が変わる

学生身長が環境によって変わるという例を論文から見てみましょう。

以下の身長に関する論文は日本人とポーランド人の成長の度合いを調べたものです。

ポーランド人は、欧州でもとりわけ背が高い方ではないのですが身長の平均値は日本人より3cm程度高いです。この論文の内容を要約すると12歳ぐらいまで日本人とポーランド人の成長の度合いはほぼ変わらないが、男子は15歳、女子は13歳以降に身長の伸びに差異が認められてくる。

この要因として、日本での生活様式(塾通い、ゲーム、お稽古事)によるい運動不足などが身長の伸びに関係しているのではないかとしています。

成長に及ぼす生活条件の差 -日・ポの比較-

身長が遺伝によらない理由3:実は身長に関する統一された見解はない

e9ceb8eb2023a4643c2d87b8d98b831b_s身長に関する研究論文はいままで多々発表されていますが、遺伝と身長に関する確立された見解はいまだにありません。

身長の伸びに関する論文のほとんどが統計による数値による予測なので数値から判断しておおむねこうだろうという論調なのです。平均からまれに突出したケースが出たとしても、なぜそうなのかはわかりません。

さらに人間の成長についてはは動物と違って人道的な観点から、さまざまな条件をかえて実験することができません。環境での要因を探るのに一卵性双生児を調べるぐらいがせいぜいなのです。統計により身長の伸びには遺伝が関係するとされていても、成長段階で身長は遺伝だからとあきらめることは得策ではないのです。

身長に遺伝の影響があっても努力を怠ってはいけない

遺伝の影響が身長にかなりの影響を及ぼすことはわかったと思いますが、だからといって身長を伸ばすことをは常に意識した方がいい理由があります。

それは、遺伝で求められる身長から突出して高くなることは難しいが、低くなることは簡単に起こり得るからです。極端な栄養不足、運動不足、睡眠不足でない限りは予測の身長に近づきますが、これらの3要素に加えて精神的なストレスが強い場合には身長の伸びがとまってしまうこともあるのです。

両親の不仲が原因、娘の身長の伸びがストップ―中国

ストレスは、身長の伸びを含む体の成長はもとより健康にも多大な影響をもたらします。性格的におおらかでプレッシャーやストレスを感じないという人もいるかもしれませんが、ストレス耐性が弱い人は身長を伸ばすためには、できるだけストレスを回避するように環境を変える、誰かに相談してください。一人で抱え込むことはよくありません。

遺伝の身長からプラス8cmを実現するには

遺伝と身長の関係について説明をしてきましたが、遺伝で予測できる身長+8cm程度は環境によっての伸びが期待できます。なので、身長は遺伝だから努力しても無駄だと考えずに今できる限りのことをしたほうがいいのです。

今では身長を伸ばすための基本的な方法は、ほぼわかっているので昔に比べて努力が結果につながりやすくなっています。 低身長症などの病気といった極端な例でないかぎりは遺伝身長にプラスで背を伸ばすことが十分に可能です。

中高生が身長を伸ばす方法

思春期が過ぎて手遅れになる前にできることはすべてしておいた方が後悔が少ないでしょう。できれば5cm以上、たとえ1cmでも身長が伸びるようにがんばってください。